第22回 アジノモト
2016年11月9日
今回のスタディツアーで、スアンプルースラムの初代住民委員長から頂いたニックネームだ。
理由は、「どんな料理にも入っていて、無くてならないもの」
化学調味料やし! けど、うまみ調味料?
褒め言葉やと納得し「コップンクラップ」と礼を言う。
初代住民委員長は、ドヤ顔でこちらを見ていた。
ここを訪問するのは5年ぶりだが、お前の事は覚えていると言ってくれた。
スアンプルースラムは、2004年の大火災で全焼し7,000人の人たちが住居を失った。
後、政府は住民たちの立ち退きとマンション建設を目論んだが、住民たちの復興への熱い思いと粘り強い交渉の結果、半分はマンション形式、後半分は2~3階建ての住宅になった。
マンションでは、火災前からの住民だけでなく、外部からの人も多く入り、コミュニティが希薄になっている。
一方、住民委員の方たちが望んだ2~3階建ての住宅では、玄関は開けっ放しで、商売をする人、料理をしている人、のんびり新聞を読んでいる人など、肩を寄せ合って生きている感が伝わってくる。そして、何より高齢者と、子どもの笑顔がすばらしく、テンションが高く元気である。
元々スラムの問題は、ごみなどの環境衛生や犯罪、ドラッグ、売春、エイズ、などがある。
子どもたちには、図書館活動を通じて学ぶことの楽しさや重要性を教え、タイの文化(舞踊・食育など)の継承も積極的に取り組んでいる。また、1バーツを貯めることで、お金の大切さを知り自立する力を育んでいる。
玄関先では、どの家も果物や野菜、ハーブなど食する草花を栽培している。
今年度、バンコクから「グリーンのまちづくり」の表彰をされている。
また、残飯からの飼料造りや、ごみの分別、リサイクルにも取り組んでいる。
7年前、初めてここを訪れたときに聴いた言葉が蘇ってくる。
「国との激しい交渉の結果、この形のまちが出来上がった。過去のように犯罪やごみだらけのまちに戻ると出て行かなければならない。だから、自分たちが責任を持ってまちづくりを進めていく」
住民委員会の方たちは、今もぶれずに実践している。
世界3大スープの一つである、タイの代表的な料理トムヤムクンにたとえ「トムヤムクンは、食材どれ一つ欠けてもいけない。えび、きのこ、レモングラス、バイマックルー、生姜、唐辛子、パクチー、ナンプラーなど。一つ欠けたらトムヤムクンでない」初代住民委員長が言った。
ここのまちづくりも、誰一人欠けてはいけない。
一人ひとりが違いを認め合い、尊重し、調和した結果、このようなすばらしいコミュニティが出来上がった。
「アジノモト」も、このまちの調味料にしてもらえるかな?
スアンプルーの皆様、ありがとうございました。