凸凹に公正な寄り添いと、平等な機会がある社会を目指す。

NPO法人FAIR ROAD

日々の活動や最新情報を発信中!ぜひフォローお願いします!

NPO法人FAIR ROADのFacebookページへ

第59回 映画『最愛の子』

2016年11月11日

第55回FAIR DAYは福原からお送りします!

今回は映画「最愛の子」を通して、中国の一人っ子政策について書きたいと思います。

 

12743698_1313342135358338_1670490353415107220_n

というのも、ちょうど先週にこの映画を見てきたのですが、いわゆる映画を通して社会問題を描くといった類の作品で、非常に考えさせられる部分も多かったからです。

新聞でこの映画を見つけたのですが、ネットで調べると大阪でこの映画を上映しているのは1つの映画館しかなく笑、全国的にも上映しているところは少ないところをみると、マイナーな作品なのかもしれません。だけど、私の憶測ですが、マイナーだからといってその価値が決まるわけではないですよね。実際、映画が送るメッセージはすごく深いものでした。

取り扱っている内容としては中国の一人っ子政策をめぐる問題点を、事実に基づきストーリー展開をしていくというったものでした。あんまり映画について書きすぎるとネタバレになってしまうので、ここでは映画のテーマになっていた一人っ子政策について書きたいと思います。

・一人っ子政策とは
そもそも、一人っ子政策とは、人口抑制を目的に夫婦が産む子どもを一人に制限する国策です。二人目からは罰金が課せられるという制度です。ただし、農村の一部や少数民族には例外的に二人目以降を産むことを認めていたことや、2014年からは都市部でも夫婦のどちらかが一人っ子なら第二子まで出産できるなど、段階的に規制を緩めるような動きもありました。

・一人っ子政策が抱える問題点
しかしながら、国が制度を用いて夫婦が産む子どもの人数を義務化することには、人権侵害の観点から国際的な批判も多くあり、また、一人っ子政策を実施することで起こる問題点も多くありました。

その問題点として代表的なものを三つ取り上げたいと思います。

・男女比の偏り
一つ目は、一人っ子政策による男女比の偏りです。子どもを一人しか産めないのなら、男の子を望むのが中国人の考え方なのでしょうか。女の子だと嫁いで他の家族の構成員となり、その夫の家庭を支えていくという慣わしが中国には根強く残っています。自分の老後を看てくれる子どもはたった一人しかいないため、産むならば男の子をという考え方や、農村などでは働き手として力強い男性を望むという強いニーズもあるそうです。

そのため、2015年1月に発表された2014年度における中国新生児の男女比は「男:女=115.9:100」という結果になり、これは世界平均である「男:女=105:100」と比べるとかなりの偏りがあることがわかります。

・戸籍のない「黒孩子」
一人っ子政策の下では、二人目を産んだ場合は、出産費・産休期間の賃金カットや罰金が課せられるほか多くのペナルティがあるため、実際には子どもが産まれていても戸籍登録をせずに育てるといったケースが多くあります。こうした戸籍がない人のことを黒孩子(ヘイハイツ、ヘイハイズと読む)と言います。

彼らがその後成長した時には、教育、医療などの行政サービスが受けられないだけでなく、交通事故にあっても事故扱いされることはないのです。戸籍がない=人として扱われない、という構図が見て取れるのは私だけでしょうか。

・誘拐ビジネス
中国には「人さらい」という現象があり、これは映画でメインとして取り上げられていた部分でもあります。

現在では「人さらい」がビジネス化しており、ただ「子どもが欲しい」という単純な動機からではなく、「金稼ぎのために」子どもを買うケースが少なくないそうです。たとえば、誘拐した児童の買主の中には幼児を20人くらい所有している者がおり、買った幼児を故意に身障者にさせたり、やけどを負わせるなどの傷害を負わせたうえで物乞いをさせるという商売をする者もいるという実態が報告されています。

また、一方では正直に一人っ子政策を守ったのに、その子どもが成人してから他界などした場合、すでに子どもを産める年齢でなくなっている親は自分の老後を看てくれる子どもがいなくなり、そこに中国の社会保障制度の不十分さも合わさり、子どもを欲しがるというケースもあるそうです。

このように多くの問題点を抱えていた一人っ子政策ですが、その廃止が2015年10月に発表されました。廃止が決定したものの国家による出生機制そのものが廃止されたわけではありません。国家による出産規制という制度自体は残されますが、産むことができる子どもの数は二人に緩和するということが変更されました。
廃止の主な理由としては、人口の高齢化や、それに伴う経済成長の低下を食い止める狙いがあるといわれています。

長々と一人っ子政策について綴ってきましたが、長年続いた中国における一人っ子政策が抱えた問題点は大きく、そして今後その廃止(制度の緩和に近いですが)における問題点について、深く注視していきたいと感じました。

皆さんも、ぜひお暇な時間があれば、映画「最愛の子」をご覧になってみてください!何か感じるもの、考えさせられる部分があれば幸いです。

以上、福原からの投稿でした。

過去の記事一覧

私たちFAIR ROADは、大阪府下(大阪市・箕面市など)での高等学校・中学校での「校内居場所事業」や、大阪市西成区・港区での「地域居場所事業」を中心に活動を続けています。ぜひ私たちの取り組みもご覧ください。

サポーター募集 サポーター募集

ホームページ制作 フェローシップ ホームページ制作 フェローシップ

FAIR ROADをお手伝いするシステム屋

大阪西ロータリークラブ 大阪西ロータリークラブ

大阪西ロータリークラブはFAIR ROADを応援しています。ぜひ皆様のご支援もお願いします。

SNSもフォローお願いします!