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第91回 自分事

2016年12月17日

あっという間に12月も中旬となり、クリスマスが近づいてきましたね。更新が遅れてしまいましたが、今回のFAIRDAYは福原からお送りします。

FAIRDAYできちんと書きたいな、と思いながら躊躇していたテーマがあります。

うまく書けるかどうか、うまく伝わるかどうか、自信がなくて書くのがこわかったのですが、自分自身が向き合っていくためにも私なりに書いてみたいと思います。

 

きっかけは大学の授業内で出たレポートでした。保健医療政策という授業で、主に日本の保険、福祉、医療などの現状と課題を学んでいく授業です。

11月ごろに自分でテーマを一つ決めてレポートするという課題が出されました。

 

選んだテーマは「生活保護」。
ずっと、どこかでこの制度についてきちんと知っておかないといけない、という思いが自分の中にありました。

私には奈良に住んでいる祖父母がいます。祖父は物を作る仕事をしていて、50年以上その仕事を続けていました。

祖父が若いころ、事業を独立させて仕事もうまく行っていたのですが、色んな経緯があって事業に失敗してかなりの借金を負いました。

祖母は子育てしながら内職で家計を支えていたそうですが、かなり家計がしんどかったそうです。

私の父は夜間で大学まで行き、昼間働きながら弟と妹の大学資金を払ったと聞いています。

 

そんな生活の中で祖父母が年金を払う余力はどこにもなく、そのため現在祖父母がもらえる年金だけで生活していくにはかなり厳しい状況があります。

生活保護の申請をしたのですが、調査の結果、生活保護を受けることはできませんでした。祖父母いわくギリギリの線で受けられなかったそうです。

 

今、祖父母はもともと住んでいたアパートから公営住宅に移り住み、祖父がシルバー人材で平日5日間、草刈りなどの仕事をしながら生活をつないでいます。

祖父は元気だけが取り柄みたいな人なので楽しく働いていますが、今後健康状態がどれだけ続くのかも心配です。

 

祖母はもともと心臓が悪く今も病院通いしています。今はなんともないのですが、アパートから公営住宅に引っ越した時は、環境の変化のせいなのか、夜大きな声で叫んだり、歩き回ったりなどの症状も出ていました。軽い認知症の症状だったのか、一瞬孫である私のこともわからない時もありました。

今まで愛情深く接してきてくれていた祖母が私に「あなた、だあれ?」と言った時は、悲しかった。高齢になってから周りの環境が変わることが、こんなにもストレスを与えてしまうことに、その時はじめて気づきました。
今は症状もだいぶ回復して明るく過ごしていることが、どれだけ有り難いことなのか、色んなことがあったからこそわかります。

レポートを書くにあたって、色んな本や論文を読んで、日本の生活保護の実態を知りました。

自分が住んでいる日本でこんなことが起きているなんて、恥ずかしいけど全く知らなかった。
問題点を挙げだすときりがないように思えるし、きっと本や論文には書かれているのは氷山の一角なんだと調べながら感じました。

実際に現場で起こっている数々のケースが取り上げられていたましたが、その一つ一つに一人の生活が重くのしかかっているようにも思えました。

生活保護の申請さえ行政側に拒否されてしまうこと。
それによって引き起こされた死亡事件も報告されていること。
はたまた視点を変えてみると、福祉事務所で働いている職員の現状にも問題はあること。
職員の専門性不足に、人手不足の問題…。
学生の私がレポートのために調べただけなのに、問題がこんなにも出てくるとは思わなかったです。それに、問題点一つ一つが生々しく感じられた。
それはたぶん祖父母のおかげだと思う。もし本で読んだケースの一つが自分の祖父母だったら…とふと考える時があります。きっとものすごくつらくて、悲しいと思う。

この機会を逃すともう後には同じような機会はないなと思って、レポートをだしに使って、祖父母に今の生活について、また生活保護について、インタビューもしました。初めて祖父母とそういう話をしました。

今まで父も母も、それから叔父も叔母も、もちろん祖父母自身も、私たちの前ではそういう話はあまり好んでしてこなかったのです。
インタビューして思った事は、こんなに近しい人のことでさえ、自分は何も知らなかったんだなと驚いたし、何が一番ショックだったかと言うと、こんなに大切な人のことでさえ、どこか他人事として捉えていた自分自身に一番驚き、同時に情けなくなりました。

日本の社会で起きている問題を、他人事として考えるのではなく、自分事として考えられるかどうか。皆が色んなことを自分事として考えられるようになったら、もっと色んな人にとって生きやすい社会になるんじゃないかと思います。難しいようでいて、案外簡単なことなのかもしれない。

まずは自分にできることから。何か一つでも、どれだけ小さくてもいいから始めてみることが大事だと思います。
私も、自分にできることから始めてみたいと思います。近々、奈良まで車を走らせて、祖父母の会いに行こうかな…と思う今日この頃です。

以上、長々と書いてしまいましたが、福原からのFAIRDAYを終わりたいと思います。

 

 

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