第93回 理想と現実
2017年3月26日
少し遅くなりましたが、明けましておめでとうございます。
年明けオバマ大統領の退任スピーチを聞き、「現実と理想」のジレンマを感じ、オバマ大統領の暖かい「涙」に感動しました。この8年間、「現実と理想」のジレンマのなか進めてきた政治に対する評価は分かれることになりますが、スピーチの上手さと政治に対する「姿勢の良さ」は忘れることはないでしょう。
また、オバマ大統領のスピーチを打ち消すようなタイミングで、トランプ次期大統領のスピーチがありました。CNNを「虚偽ニュース」と叫び記者の質問を拒否した映像を見ていて、数年前の大阪を思い出しました。少なくとも、世界のリーダーが取るべき態度ではないと思ったのは自分だけでしょうか。
「現実と理想」で揺れているのは、子どもたちも同じです。
子どもの貧困問題の手立てを打たなければ、将来の経済損失が40兆円とも言われているなか、子育てを「個人責任」で済ませる状況ではないのは明らかであります。
行政、地域、NPOなど、それぞれの特性を生かし、「ゆるく、しっかり」と交わりながら子育てを取り組まなければなりません。
昨日、大阪市難波市民学習センターで「高校生サバイバー3~高校性居場所カフェの必要性~」を一般社団法人officeドーナツトーク主催で開催しました。
大阪府事業「高校内における居場所のプラットホーム化事業」が、今年度予算が付きスタートしたのが11月で、次年度に向け高校生居場所カフェの必要性を世間に発信することと、取り組み団体の連携を深める内容となりました。
FAIRROADとして、マイクパフォーマンスの時間をいただき、理事長の阪上と栗本からも「高校性居場所カフェ」の必要性を訴えさせていただきました(感謝です!)。
参加者は、各NPO団体や大阪府・大阪市・区役所の行政、学校関係者、報道機関、研究者など幅広いメンバーに集まっていただきました。
高校性居場所カフェの運営をさせていただいて感じることは、この事業の必要性はもちろんのこと、「入口」と「出口」の問題です。
「入口」は中学時代の問題で、高校入学時にはすでに沢山の課題を抱えています。
・希望校でない・中学時代にいじめられていた・親の問題・家庭が居場所でないなどの状況で、高校に進学しても積極的に勉強に取り組めない、クラブに参加できない、友達関係を上手くつくれない、何より学校に行きたくないと…
大阪府高校の中途退学者数は、「平成27年度児童生徒の問題行動等生徒指導上の諸問題に関する調査」の結果、1,741人(全体の1.5%)です。
理由は、・「進路変更」717人(41.2%) ・「学校生活・学業不適応」683人(39.2%)のうち「人間関係がうまく保てない」が多くなっています。
そして、全体の45%の784人が1年生で退学しています。
また、不登校の生徒数は3,379人(全体の2.8%)で、理由は「本人にかかる要因」として「無気力の傾向」が52.8%と多い状況があります。
この数字から見ても中学時代に「予防」の手立てを考える必要があります。そうです、「義務教育の壁」を超えなければならないのです。各セクターの協力のもと中学校に「居場所カフェ」を設けるための動きを始めたいと思います。そして、小学校、保育所へ…
次に「出口」の問題です。
高校を卒業し進学や就職(どちらも決まらない子もいる)をするわけですが、「現実と理想」に挟まれ身動きが取れない若者の姿が目に浮かびます。その先での悩みや心配事を相談する受け皿がないのが現状です。一人で追い詰められて、退学や退職、最悪自殺…こんな悲しいことはありません。
どこか外部に、「高校居場所カフェ」から巣立った若者の帰る「居場所」を設け、悩みや心配事を相談する受け皿の必要性を感じます。
2017年が始まりました。
FAIRROADも新しいメンバーが加わりバージョンアップし、楽しみです。
今年もよろしくお願いいたします。